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家にあれば 笥に盛る飯いひを 草枕
  旅にしあれば 椎
しひの葉に盛る    有間皇子

片岡の この向つ峰に 椎蒔かば
  今年の夏の 蔭にならむか 
     作者不明

遅速も 汝をこそ待ため 向つ峰の椎の
  小やで枝の 逢ひは違はじ 
作者不明 三首 万葉集


この山は たださうさうと 落とすなり
  松に松の風 椎に椎の風       北原白秋








学名 : Castanopsis sieboldii
または、
Castanopsis cuspidata var. sieboldii

 Castanopsis : シイ属、シイノキ属。
 cuspidata : とがった。
sieboldii : 日本植物の研究者「シーボルト」さん。
 Castanopsis は、「Castanea(クリ属)+ opsis(似る)」、
クリ属に似ている、という意味。










 山地に生えるが、公園でもよく植えられている。山の中で、シイタケの原木として使われることがある。樹皮は染料になる。
 秋に、先端のとがった、やや細長いドングリができる。








 別名「椎(しい)」。ふつう、シイとかシイノキというと、このスダジイを指すことが多い。

 「椎」の語源(いわれ)は実が自然に落下して木の下にあることから、「し」= ”下”を意味。「ひ」= ”実”を意味。を合成して「しひ」になったらしい。







いたじい (すだじい、ながじい)   〔ぶな科 シイノキ属〕
Shiia Sieboldii Makino
(=Castanopsis cuspidata Schottky var. Sieboldii Nakai)
 中部以南の暖地にはえる枝葉の多い常緑高木。普通庭樹とする。幹は直立し、大きいものは25mをこえ、径は1.5mになり、樹冠は球状となる。樹皮は黒灰色、後に縦に裂ける。葉は2列生で、有柄互生、初め宅は托葉があり、広楕円形、あるいは広皮針形、先は尾状の鋭尖形、基部は鋭形あるいはやや鈍形、革質、ツブラジイよりもやや厚くて大きい。葉は長さ5~15cm、裏面は淡褐色の鱗屑があり、全縁であるが上部にきょ葉がある。6月頃、長さ10cm前後の上に向いた穂状花穂を新枝の葉腋から出し、密に黄色のおばなを開き強い香りを放つ。雌雄同株。虫媒花。おばなは小形で、がくは5~6裂し、おしべは15内外。めばなの穂は下部の葉腋から出て短かく、花も少数で、花に花柱が3個ある。堅果は円錐状卵形で先は鋭形、生時は黒褐色で乾くと褐色となる。表面横線状にに並んだ小突起のある総包が堅果を包み、形は漸尖頭の長楕円形で、長さ1.5cm前後、熟すと3裂して果実を落とす。材を利用し、白色の子葉を持つ種子は食用となる。
 〔日本名〕イタジイのイタは意味が不明。一名スダジイともいうが、スダも意味不明。また一名ナガジイは果実が長いからである。〔漢名〕柯樹。
-牧野植物図鑑-






ドングリですね。樫や楢と違って渋みや微毒があり、それが少ないので、栗や椎の実は食糧にしやすかったのでしょう。弥生時代になっても遺跡を発掘すると、お米などよりドングリがたくさん出て来ます。古代人の胃を支えて来たのはぶな科の木々のドングリです。  (ま)

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