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我が宿の穂蓼ほたで、古幹ふるから、摘み生し、
  実になるまでに、君をし待たむ
   作者不明


 みてぐらを、奈良より出でて、水蓼
みづたで、穂積ほづみに至り、鳥網となみ張る、坂手さかてを過ぎ、石いわ走る、神なび山に、朝宮あさみやに、仕へ奉りて、吉野へと、入ります見れば、古いにしへ思ほゆ    作者不明


 童わらはども、草はな刈りそ、八穂蓼やほだてを、
穂積
ほずみの朝臣が、腋草を刈れ     平群朝臣


  平群朝臣が、穂積の朝臣をからかい笑って詠んだ歌です。
                    三首とも万葉集





学名:Persicaria longiseta
 Persicaria : イヌタデ属
 longiseta : 長い刺毛の
 Persicaria は、「persica」(桃)
 に葉が桃に似ている意味。



  「犬」がつくものには食用にならない、の意味をもつものが多いです。

犬胡麻(いぬごま)、犬芥子(いぬがらし)、犬薺(いぬなずな)、犬稗(いぬひえ)、犬蕨(いぬわらび)、などです。





 スイバ、スカンポ。蓼科ですが、こちらは食べることが出来ます。ハーブとして、サラダなどに使われています。





いぬたで (あかのまんま)       〔たで科〕
Polygonum Blumei Meisn.(=Persicaria Blumei Gross)
 原野や路ばたに多い1年生草本で、高さ20~40cmぐらいである。茎は直立し、あるいは斜に傾むいてのび、しばしば分枝してくさむら状になり、軟かくて平滑な円柱形で、 通常紅紫色をおびる。葉は互生し、広皮針形あるいは皮針形で、両端が尖り、葉のふちや裏面の脈上に毛がある。さや状の托葉はふちに長い毛が並んではえている。夏から秋にかけて、梢上に、長さ1~5cmぐらいの密な穂状様の花穂を出し, 小形の花をつける。花は紅紫色で, まれに白色のものもある。がく片は5個に深裂し、長さ 1.5mm ぐらい、裂片は倒卵形である。花弁はない。おしべは普通8個。花柱は3個。そう果は3稜形で暗褐色、つやがあり、長さ約1.5mmで宿存がくに包まれている。白花品をシロバナイヌタデ (f. albiflorum Makino) という。
 〔日本名〕 犬蓼。イヌタデは元来は辛味がなくて食用にならないタデの総称であるので、著者 (牧野) は本種に一度ハナタデの名を与えた。しかしこの名は別項のヤブタデの通称と同じで混乱のおそれがあるので、本版では再びもとにもどした。 一名アカノマンマは粒状の紅花を赤飯にたとえた名である。〔漢名〕 馬蓼は別のものである。
-牧野植物図鑑-



 図鑑に牧野さんが名前変更しなかった理由書いてます。犬ダテは可哀想だからという思いです。近代分類学で最初に名前付けてのは牧野さんですから、一つ一つの植物への思いが分かり面白いですね。  スカンポのダテの仲間です。こちらは食糧にてできます。サラダなどに使います。
 万葉集に載っている草花、だんだん載せるものが少なくなっている。今回は蓼科を代表して犬タデを載せました。         (ま)

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