prev next

 





──────────────────



茜さす 紫野むらさきの行き
  標野
しめの行き 野守のもりは見ずや
  君が袖
そで振る           額田 王


茜さす 日は照らせれど ぬばたまの
 夜
渡る月の 隠かくらく惜おしも  柿本人麻呂


時ごとに、いやめづらしく、八千種
やちくさ、草木花咲き、鳴く鳥の、声も変らふ、耳に聞き、目に見るごとに、うち嘆き、萎しなえうらぶれ、偲しのひつつ、争ふはしに、木の暗くれの、四月うづきし立てば、夜隠よごもりに、鳴く霍公鳥ほととぎす、いにしへゆ、語り継ぎつる、鴬うぐひすの、現うつし真子まこかも
                  大伴家持


あかねさす 昼は田賜
びて ぬばたまの
夜のいとまに 摘める芹これ
            葛城王
かつらぎのおほきみ



 



  小さな草。輪生する4枚の葉っぱの形が目立つ。秋、小さな白い花が咲く。花のあとで実がなり、黒くなる。茎には小さなトゲがある。



 



生薬名:茜根せいこん
・生理不順   ・薬用部位 根

生薬名:茜草せいそう
・薬効 止血  ・薬用部位 実



 



 赤根 : 根から、赤い染料がとれる。「茜染め(あかねぞめ)」という。根を乾燥させると、だんだん赤くなることから、 「赤い根」で「あかね」になった。




あ か ね         〔あかね科〕
Rubia cordifolia L. var. Mungista Mig.(=R. Akane Nakai)
 東亜の暖帯に広く分布し、(西はアフガニスタンから東はヒマラヤに分布するのは子葉は地上生である)つる性の多年生草本で、わが国のは子葉が地下生である点で区別される。本州以南の山地や野原にふつうに見られる。根は太いひげ状で生の時にはつやのある黄赤色であるがおしばにすると暗紫色となり、はさんだ新聞紙にも着色する。茎は長く伸びてよく分枝し、断面は四角で逆刺がある。葉は4個輪生し(じつは2片正葉、2片托葉)、長い柄があり、長さ3~7cm、幅1~3cmの心臓形、または長卵形で、先は鋭くとがり、基部は心臓形。葉柄や葉のへり、裏面の脈上に逆刺がある。夏から秋にかけて、茎の先端または葉腋から円すい状の花序をしばしば複合させて、多数の淡黄緑色の小花を開く。花冠はふつう5裂し、5本の雄しべがある。果実は球状で黒く熟し、平滑である。本種の根は染料として茜染に用いられ、また利尿止血、解熱強壮剤として薬用になる。
 〔日本名〕 根が赤いことからついたものであり、それで染めた色は丁度太陽がでる前の東の空の色に似ているので古くは東の枕言葉として「茜さす」が使われた。〔漢名〕茜草。
-牧野植物図鑑-






 忘れていました。大切な赤い染料をとる植物です。牧野先生は日本にあるのはつる性ではないと、しかし今の植物学ではつる性と説明。そこに細かい見解の相違あるのでしょうね。こういうところ気になりますね。時代の違いあるのでしょう。  (ま)

prev next