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万 両 薮柑子(やぶこうじ)科
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吾が屋前にはの 花橘の いつしかも
珠たまに貫ぬくべく その実成りなむ
花橘=万両? 万葉集 大伴家持
この雪の 消残るけのこる時に いざ行かな
山橘の 実の照るも見む
山橘=十両:薮柑子 万葉集 大伴家持
万両は 兎の眼もち 赤きかな 加賀千代女
元禄16年(1703)~安永4(1775)
万両や 使うことなき 上厠 富安風生
明治18年(1885)~昭和54年(1975)
実生なる マンリョウ赤く 色づきて
年の瀬の庭 にぎやかになる 鳥海昭子
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万両の花 薮柑子(やぶこうじ)科
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万両、千両、百両、十両、一両は、赤い実をつける正月の縁起物です。
万両、百両、十両は同じ薮柑子(やぶこうじ)科です。実の数、背の高さで違いなどで分かれています。(背丈は、万両、千両、百両、一両、十両の順に低くなります。)万両には実が白い種類もあり、正月の縁起物に使われます。百両は、別名唐橘(からたちばな)、葉っぱは細長く、ギザギザがありません。十両は、別名薮柑子(やぶこうじ)、百両よりも背が低く、葉っぱはギザギザです。
千両はセンリヨウ科で、万両より低く、葉っぱの上に実を付けますが、薮こうじの仲間は葉っぱの下に実を付けます。江戸時代後期までは「仙蓼」と呼ばれていました。また、千両の実は、12月29日の誕生花、花言葉は「富、財産」です。
一両はあかね科、別名、蟻通し(ありどおし)。
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百 両 薮柑子(やぶこうじ)科
別名、唐橘(からたちばな)
葉っぱは細長く、ギザギザがありません。
十 両 薮柑子(やぶこうじ)科
別名、薮柑子(やぶこうじ)
葉っぱはギザギザです。
千 両 センリヨウ科
千両の実は、12月29日の誕生花、花言葉は「富、財産」
一 両 あかね科
別名、蟻通し(ありどおし)。
まんりょう Ardisia crenata Sims 〔やぶこうじ科]
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アジア東部、南部の暖帯に広く分布し、関東以西、四国、九州の山林中にはえる常緑低木であるが、広く観賞用として栽培される。茎は直立しまばらに枝をだし、高さ30~60cm、時に1.5~2mに達するものもある。葉は互生し、長楕円形でとがり、長さ7~12cm、幅2~4cm、質厚く光沢があり、ふちに波状のきょ歯をもち、ややしわ状に波うつ。夏、枝の先に小さい白色の花を散房状につける。花冠は浅い皿状で深く5裂し、径約8mm がくは5裂し、裂片は卵形でややとがる。雄しべは5本、雌しべは1本. 果実は球形で径約6mm、赤く熟し下垂する。園芸品には果実の淡黄色のものがあり、シロミノマンリョウ(f leucocarpa Nakai) という。漢名として磔砂根を用いるが誤りである。
-牧野植物図鑑- |
万 両
今回は冬の縁起もの、万両を中心に、その違いの勉強です。「両」のつく植物の他に、南天、がまみずなども入れると、けっこうたくさんあります。
冬の場は広葉樹の葉っぱがなくなり、風景が殺風景になる中、目立つ赤は貴重で、縁起物として大切にされてきました。 (ま)
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