梅 雨
今年も梅雨がやって来た。この列島は、梅雨と秋の長雨で潤います。人間にとっては、鬱陶しい嫌な季節ですが、植物達にとっては、天からの恵みの雨なのです。
温帯多雨気候、梅雨がもたらしたものに、縄文時代という、特殊な時代を作り上げました。世界では、新石器時代という古学的分類の時代です。
しかし、日本列島では、雨のもたらす豊かな森林に囲まれ、移動せずに、採取生活しながら、必要な食料を確保出来き、移動せず採取生活ができたのです。それだけ豊かな自然に囲まれていたのです。
そこで縄文土器は、大きな役割を果たします。初期の土器は、壊れやすく、移動生活で持ち運ぶことは出ませんでした。土器の持つ威力を発揮出来なかったのです。
土器の威力とは、食物を煮ることより、えぐみや毒素を排除することです。それにより従来の食料可能な食材の十倍から百倍の、植物や魚介類を食料とすることができたのです。
世界では農業が始まり、纏まった食料を確保できるようになり、初めて土器を使うことが出来るようになったのです。世界より一万年近く先駆けて、この列島では土器を利用していたのです。
春、夏には多くの山菜。海辺では貝や海藻。秋は、ドングリなどのブナ科の木の実、そしてキノコ。列島の多くの河川に海から上がってくるシャケ。十キロ四方に、百人程度の村を維持することが出来たのが縄文時代です。
梅雨や秋の長雨が、この列島に大森林を繁栄させ、様々な植物の大国とした。そして、縄文時代という世界でも稀な時代を作り出したのです。雨こそ天が与えた恵みなのです。
2025.6.9. Mamoru Mut