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 古事記には、日本武尊が東征の際、「比々羅木の八尋矛」を賜った話や、土佐日記にも、「小家の門の注連縄の鰯の頭、柊らいかにぞいひあえなえる」とある。


   ふれみぞれ柊の花の七日市       其角


   柊の 葉の間より 花こぼれ   高浜虚子


   ひひらぎの 白き小花の 咲くときに
    いつとしもなき 冬は来むかふ    茂吉


   葉はふれず 花柊の香 には触れ  稲畑汀子



 



学名 Osmanthus heterophyllus
   Osmanthus : モクセイ属
   heterophyllus :種々の葉のある

 Osmanthus(オスマンサス)は、ギリシャ語の  「osme(香り)+ anthos(花)」が語源。


  12月24日の誕生花

  花言葉は「先見の明」






 西洋では、クリスマスの飾りにセイヨウヒイラギ(西洋柊)を用います。また、北欧では、森に生えているすべての木の中で最も尊い木とされ、王冠の印にも使われ、国王を象徴する樹木とされています。

 日本では、 柊は厄除けの木として、よく庭に植えられてきました。この風習は随分昔から行われていたらしく、日本武尊や、土佐日記にも、でてきます。  柊に魚の頭を刺して魔除けにする風習が記されています。これは、鬼が村に入ってきて空腹のあまり村人を食べようとしたが、柊の葉の棘で目を刺されて退散したという古い伝説にもとづいていいます。今でも節分の行事として受け継がれています。

 また、中国では、鬼を爆竹の音で追い払う慣習があるが、ヒイラギも葉をくべると葉が膨張してはぜるので、その音で鬼は逃げていく、という話もある。







ひいらぎ   Osmanthus ilicifolius Mouillefert   〔もくれん科〕
 関東以西、四国、九州、台湾の山地に自生し、または庭園に植えられている常緑の小高木である。高さは3mばかり、幹は直立しよく分枝して葉も多い。葉は対生し、卵形または長楕円形、葉縁には各側1?3の先が刺状になった鋭いきょ葉あり、老樹になると梢の葉は全縁のものが多い。秋、葉腋に花柄のある白色の小さい花を散形に束生し、多少よい香がある。がくは緑色で4裂し、破片は楕円形、雄しべは2本、雌しべは1本、雌雄異株で花形は同じであるが、雌樹では雌しべが発達し、花柱も長くて結実するが、雄樹では結実しない。核果は楕円形で黒紫色に熟す。
 〔日本名〕疼木で疼はひいらぐ(痛む)の意味。葉の刺にふれると疼痛を起こすことからいう。ヒラギと呼ぶのは誤りである。漢名の狗骨は本種ではなく、モチノキ属の一種であるヒイラギモチ(Ilex cornuta Lindl.)のことである。
-牧野植物図鑑-






  今回は柊です。もう載せているかと思ったら、万葉集にひいらぎにまつわる歌がないので、置き去りにして来たのです。しかし、古くから葉の刺は魔除けと信じられ、ヤマトタケルの使っていたとのこと。正月も飾るけど、節分にイワシの頭と一緒に、魔除けとして使う方が多いようです。     (ま)

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