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バグワン-ダス
 
 バグワン-ダスです。大きな体格をしたアメリカ人の若者。対称的に小さなユダヤ系ニューヨーカー。ス―リヤと共に陸路キリスト教ギリシャ正教, イスラム圏でス―フィズム,インドでヒンドゥー教の修行をやってきたと言って、各宗教の名前を持っていた。
 カトマンズまでたどり着き、後年僕が貴方と会った下宿の向かい側の家の一部屋に住みバグワン・ダスのギターとスーリアのシンバル。ロック調の歌声を奏でていた。修行者らしい足元近くまで垂れる白っぽいズンドウのクルタ風長袖シャツ姿だった。1967年初頭だったと思う。盆地の夜霧。岸辺の死体焼き場からの独特な臭いと街の辻辻に立つ偶像や祠に捧げられた紙でよじった線香に油灯明。なによりも泥まみれか埃っぼい空気。野犬の群れが咆哮制圧している夜道をギターぶんぶん目らんらんさせながら裸足で歩く二人に付き合った。彼らはその勢いでエベレストのベースキャンプを目指したが、ヒマラヤは手強く、途中で引き帰した。僕が寄宿していたカトマンズ郊外ソワヤンブ寺(ヒッピ―はモンキーテンプルと呼んだ)の部屋に泊まりに来た事もある。だがほぼ静まり返ったまま一晩後に出て行った。。元ハ―バード大学教授リチャード-アルパ―ト(後にラム-ダス)の滞在していたソルティーホテルを訪問して彼と意投合した経緯は、ヒッピ―のオリエンタリズム名著、「Be here now 」です。
 
 その後アメリカでバグワン-ダスはグルになったと言う。80年代新しいタイプのバジャン(御詠歌)を共通の友達、日本人のポンがCDで聞かせてくれた。90年代には、あの頃インドを一緒に旅したアメリカ人ツルトリム-アリオネが彼とハワイで会ったとの手紙が来た。中古車のディーラーをしてるがBright のままだとのことだった。
 そういえば、ス―ツルトリム-アリオネもオリエント修行の後、ニューヨークに戻って即タクシーの運転手をしていたそうだ。アメリカンヒッピ―のオリエンタリズム名著、「モーターサイクルと禅」を思い出した。
 ツルトリムはアッサムのチベット仏教寺院で7年修行した後に、知恵の女たち、と言うチベットの聖なる女性たちの生きざまについての本を日本語版も含め数ヶ国語で出版した。それからコロラド州に道場を開き今にいたっているという。60年代後半のオリエント出逢いのご縁は、直に逢わずとも風の便りが繋げている。
 
澤村 浩行    2019.12

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