番外-1 index

行く先知らない乞食の足音
  99/1 澤村浩行
 
行く先知らない乞食の足音
声なき街に問いかける
色なき風の背に受けて
涙の枯れた駅に着く
自動改札口にジャンプする黒い顔
 
泥沼にかかるプラットホーム
ひざ出してオイデするベンチ
軽すぎるアルミカンのたわ言
闇ふるわせる乞食の髪の毛
レールの伝える一番列車
 
行き先知らない乞食の足音
胸の奥に暖めていたひとつのパック
ゴミ捨て場の片隅でオイデした
年越しソバの売れ残れ
 
記憶ときほぐす指先のラプソディー
 
顔まだ赤かった頃の初もうで
鎮守の森に散りばめられた
エメラルドの星燃え尽きた後
青空押し上げる初日の出
 
記憶ときほぐす指先のラプソディー
 
行く先知らない乞食の足音
つまみ出すひらめきひと筋、
年越しソバの売れ残り
顔赤くなって届いた初もうで
 
記憶ときほぐす指先のラプソディー
顔また赤くなった初もうで
年越しソバの売れ残り
レールの伝える一番列車
 
数限りなくこだまする
行く先知らない乞食の足音

番外-1 index