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庭劇場「能書き集」
2009年



憧  れ
8月12日~18日


太陽はあいかわらずなのに、地球もあいかわらずの軌道上にいるのに、人間の破壊力はますます傲慢になってくる。
地球を使い果たすまでコキツカウ宿命。
隠された絶妙なメロディー。
母親の胎内から飛び出し、動物になった瞬間から発動する野蛮活動。
興味津々の観察力。
このことに関しては、科学や医学や建築土木や戦争や巷の犯罪はもとより芸術も深く関わっている。
なにごともそのままではしておけない性分は、宗教にもかかわってくる。

楽器を触れる前から奏でられるメロディー。

胎内で終焉することと、産まれて人生がはじまって終焉することとは、歴然の差異がある。
メロディーが違う、一方の夢ともう一方の夢はチガウ。
もう一方の夢は、夢をみればみる程に、太陽の光線を羨望して濁る。
すべての進化は、呪われつつ躍動する。 先見の灯台は煌々と光っていた。
老いろ!

ああ 憧れる! 出産のゼッテン。
オギャアとさけんだとき、血をはくべきだった。
それにしても、親鸞や明恵のように、鎌倉時代の優れた宗教ものが、生涯念仏唱えて、あるいはひたすら座禅で生涯をおえて、じごくに堕ちても悔いない。となぜ宣言するのだろうか。あえてそう宣言しなければ、修行は耐えられないものだったのだろうか。 それとも。 それとも。人間いかなるなんびとといえども、地獄に堕ちるに決まっているからなのでしょうか。
親方たしかにおまえさんの頭の中には地獄がありまさぁ。
その歳にもなって、かわいそうに、もう取り返しがつかないだろう。
親方、人間は食べて夢見る機械ですぜ、おまけにやることは畜生ときてまさぁ…………。
機械がとまれぱ、それまでてさぁ、食べて夢見て、なんにものこりませんぜ。


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